地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
今すぐにでも、ベッドへ連れて行きたい。

……だが、仕事が済んでからだな。


本能を理性で抑え、渡された書類に目を通す。

今見とかねぇと……杏に触ったら、朝までこれらのことは消去されるから。

仕事より杏を抱くことしか頭になくなる。


「うわ〜……大学の講義より難しそう」


隣に座った杏が、小さく呟いた。

俺の見てる書類を横から覗き込んでる。


ハァ―……だから見えてるんだって、その谷間。

柔らかい素肌が、俺を「触れ」と誘って来る。

ついつい手が伸びそうになったが、「仕事が先!」と言い聞かせた。




その瞬間。


──ヒラッ



書類の束の間から、一枚の薄い封筒がソファーの下に落ちる。


なんだこれ?

覚えがないため、首を傾けながら拾い上げた。
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