地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
「ね、見てもいい?」
「だ、ダメだ!」
「会社の情報なの?」
「ち、違うけどっ……」
し、しまった。
会社経営のことだと言えばよかった。
そうしたら、杏はすんなり諦めてくれたのに!
正直に答えてしまったことに、いまさら後悔する。
「……う〜ん。あっ!」
「は?」
パッと何かを思い付いたような表情をした杏。
ポカンと見ていたら。
「……ッッ!?」
いきなりキスされる。
それも、俺が弱い杏のデカくて柔らかい胸を体に押し付けられたままの濃厚キス。
杏からされるのは大歓迎。
大事な封筒のことも忘れ、応えるように細い体に腕をまわした。
その瞬間。
──スッ
俺の手から、何かが抜き取られる。
「よしっ! 封筒ゲット」
唇を離した杏から、弾んだ声が聞こえた。