地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
─────2時間後。


「つ、着いた……ッ」

「あーちゃん……本当に方向音痴だね」

「ご、ごめんね……」


15歳近くも離れた女の子に、軽く説教されてるあたし。

その女の子とは……繭ちゃんです。



目の前にある建物を見る。


「……2年半ぶりだな」


高1の終わり以来、来たことがなかった場所。

来たくもなかったかな……。



あたしがいるのは、撮影スタジオがある建物の玄関。

今……柚莉が仕事してる場所。


そして。


あたしが、2年半前、妖怪退治の調査に来た場所。

……イジメられたところだ。


脳裏に様々なことが浮かんでは、消えて行く。


「……あーちゃん、入らないの?」

「あ……うん。入ろうか」


不思議そうにあたしを見上げる繭ちゃんに、軽く微笑んで一歩踏み出した。
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