地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
どうしたんだろう?

デートじゃないって答えただけなのに。


「最後に遊びに出かけたのはいつ?」

「えっと……高3の秋ですかね?」

「……あのバカ」


さらに、怖い形相になる咲さん。

美人だから、迫力あります!


「杏ちゃんというカワイイ彼女がいるというのに、どこにも連れ出さないってどうなのよ。これじゃ、他の男に取られても仕方ないわ」


大きなため息をつきながら、あたしの頭を撫でる。


そして。

驚くべき一言を告げられた。


「ふたりとも、遊びに行くわよ。陸が構ってくれてないんなら、私と遊びましょ?」


ニッコリと満面の笑みの咲さん。


「え? え?」

「あそこに座って待ってて? 柚莉ちゃん、頑張って早く終わらせるわよ!」

「はいっ」


戸惑うあたしなんてお構いなし。

滝本家の長女は、俺様長男同様聞く耳持たないらしい。

手を引かれて、近くのイスに座らされ……咲さんは柚莉を連れて撮影の中に入っていった。


「あーちゃん。すごいことになったね?」

「うん」


あたしの膝の上に座った繭ちゃんが、顔を見上げながら言う。

苦笑気味に返した。


今日は、すごい日になりそうです。




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