地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
ーー柚莉sideーー

杏樹が持ってきてくれた私服を着て、撮影が始まる。

咲さんもメイクとかで仕度中。


カメラマンの人に、シャッターを切ってもらうのは楽しい。

撮影の時は、緊張もするけどやりがいがある。

上手く笑えたときとかね。

この頃、ようやく慣れ始めたんだけど……いつもカメラの向こうに悠がいてくれると思ってるんだ。

そうしたら、自然と笑えるんだよ。



撮影が始まって、数分後。

周りのスタッフさん達がある一点を見つめていることに気づいた。


「杏樹ね」


スタジオの入り口に近い場所にちょこんと座ってる。

サラサラの黒髪。

細くて長い手足。

整ったキレイな顔。


「カワイイね」

「柚莉ちゃんの友達なんでしょ?」

「レベル高……」


メイクさんやスタイリストさんが、口々に褒めてる。


カワイイのなんて当たり前よ。

私の自慢の幼なじみだもの。

汚されないように、滝本くんが現れるまでずっと守ってきたんだから。


「あっ……ヤバイ」


杏樹を褒められるのがうれしくて、ニコニコしていたら。

何人かの男性スタッフさんが、真っ赤な顔で杏樹を見つめてる。





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