地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
「滝本くんいますか?」
落ち着いた女性の声が聞こえた。
その人は、教室の入り口に立っていて……陸を探してる。
「え〜用事ってなぁに? いっつもそれじゃな〜い。カナと遊びたくないのぉ〜?」
「……ごめんね。ムリなんだ」
陸は、派手めな女の子の対応に追われてるから、入り口にいる女性の呼びかけには気付いてない。
「滝本くん? いませんか?」
大学の事務職の人なのか、40代くらいの女性。
メガネをかけてて、スーツを着ていた。
「……りーくん気づかないね?」
「うん」
隣にいる繭ちゃんも、呼びかけに気づかない陸を気にしてる。
どうしようか……あたしが呼んだら気づくかな?
探してる女性にも悪いし……。
そう思って───……。
「陸……!」
周りに、まだまだ女の子達がいるのに……教室中に響く声で、陸の名前を呼んだ。