地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
教室がある棟を出て、一息つく。


……来週から、色々と噂されるかもしれない。

周りの女の子達みんなは、『陸くぅ〜ん』って呼ぶのに。


『陸……!』

って、思いっきり呼び捨てで呼んだからね……。


「……関係が知られるのも、時間の問題かな?」


5時過ぎでも、真昼間のように明るい空を見上げながら呟いた。


「あーちゃん、今日もパパ達お仕事遅いの?」

「ん〜……そうだね。夜中に帰って来るかも」

「そっかぁ……じーまもいないし、寂しいなぁ……」


浮かない表情の繭ちゃんの頭を、優しく撫でる。


よし……。今晩は、繭ちゃんの好きなハンバーグを作ろうかな。

お父さん達がいないことでの寂しさを紛らわしてあげなきゃ。


そう思って、大学を出ようとした時───。


「杏樹〜〜!!」


後ろから、誰かに呼び止められた。
< 152 / 622 >

この作品をシェア

pagetop