地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
パッと、ヤツを見る。

あのバカッ!


フルフルと手が怒りで震えた。


アイツ───……陸は、教室中央の通路側の席に座っていたんだけど。

意識がはっきりしていなかったのか、誤って……教科書類すべてを机から落とした。


「キャアアア〜陸くぅ〜ん大丈夫ぅ〜!?」

「私が拾ってあげるぅ〜」


周りにいた女の子達が、落とした教科書類を拾ってくれる。


「もうォ、陸くんったらカワイ〜イ。ドジなところも好きィ!!」


ひとりの女の子が、甘えるように言って……陸の腕に抱き着いた。


「あぁ〜〜!!リカずる〜い!!陸様はあたしのものよォ〜」

「違うっ。リカのだもん!」


いやいやいや。

あたしの彼氏ですから、その人。


女の子達が、キャーキャーと言い争っている中。

無言で何も口にしない陸。

絡められた腕を振りほどこうともしない。
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