地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
岡本さんと別れて、陸の部屋に入る。

ベッドに近づいていくと、穏やかな寝顔で見えた。

よく眠ってるね。


ベッド近くにあるテーブルに、ひとまず氷枕を置いて……荷物を片付ける。

薬や教科書の入ったバック。

北原さんから受け取った書類。

これは、回復してから陸に見てほしいんだってさ。

書類はパソコンデスクの近くに置いて……バックはソファーの上に。

薬は……ベッド近くにあるテーブルへ。


「よし、終わり!あとは……」


陸の頭を持ち上げて、氷枕を敷く。


「ん……」


枕が冷たくなったからなのか、あたしが頭を持ち上げたからなのか……。

陸の目が少し開かれた。


「あ、ごめん。起こしちゃったね」


そう言って、頭を優しく撫で付けた瞬間──。


──グイッ!


「キャッ……」


あたしは、ベッドの中に引きずり込まれた。
< 190 / 622 >

この作品をシェア

pagetop