地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
後頭部が冷たく感じる──。

って、あたしが氷枕に寝てるんじゃない。

陸が寝なきゃいけないのに。


「陸?寝ぼけてるんでしょ?」


あたしの体に覆いかぶさるように、またがって押し倒してる陸。

さっさとどいて、ちゃんと寝かせなきゃ……。

そう思ったのに──。


「杏……」

「ん?」

「杏……」

「なぁに?」

トロンとした目で見つめられ……思わず陸の頬に手を伸ばす。

相変わらず熱いなぁ……。


「……好き」

「えっ……」


不意打ちの甘い言葉に、目をキョトンとさせられた。

すると、今度は首筋に顔をうずめられる。

そのままギュッと、優しく抱きしめられた。


「杏……」

「ん?」

「……どこにも行くな」

「うん、行かない」

「……好き」

「うん、あたしだって好き」


優しく頭を撫でて、抱きしめ返す。

なんだか……ホッとした。
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