地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
あたしみたいな小娘を、いいって言って下さる方もいるんだ。


「小田さん!彼女なら、きっと彼氏いますよ!」


おじさんに向かって、部下みたいな若い男性があたしを見ながら言う。


「そうですよ!小田さん、諦めましょ?」


同じく部下らしい女性が、フフッと笑いながら言った。

小田さんと呼ばれたおじさんは、ちょっと落ち込んでる。

本気であたしを息子さんの嫁にって考えていたみたい。


「杏樹ちゃん……男いるのかい?」

「はい、一応います」


そう返すと、小田さんはさらにショボンと小さくなった。

あらら……。


「ほら、杏樹ちゃん。仕事戻りなよ」


部下の男性が、あたしを促す。


「あ、はい。どうぞごゆっくり」


その言葉に甘えて、個室から出ようとした瞬間。


「う〜ん、嫁にはムリでも、私は君が好きだ。何か困ったことがあれば、電話しておいで」


スッと、小田さんから、1枚の名刺を渡された。

お礼を言って、一応受け取り、部屋を出る。

パタパタとバイト仲間がいるところへと戻った。
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