地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
――陸Side――

……なんか、スゲー。

杏が素直で、かなりの甘えん坊だ。

それも朝っぱらから。


一緒にいるのが、久々だからか?

コイツがバイトを始めてから、さらに会う時間が少なくなった。

大学の講義が終わってからの少ない時間しか、ゆっくりできない。

ましてや、繭が隣にいると……なおさら、ゆっくりなんてできない。


「陸……そこ座ってもいい?」

「え?あぁ……」

了承すると、パッと笑顔になり……俺の足の間に座ってくる。

杏から座りたがるとは……珍しい。

本当に甘えん坊のチワワだ。


「ギューってして?」

背中を向けて座っていたのに、こちらを向いて両手を広げる。


……カワイイ。

うるうるとした目に見つめられ、悩殺された。


「あ、あぁ」

「いっぱいね?」

「……ッッ……!」

小首を傾げて言うその姿に、さらにノックアウトされ……。


口を塞ぎながら抱きしめた。
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