地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
スッと離れると……。

「顔真っ赤」

一瞬で、見事なまでに頬が色づいている。

「ばっ!み、見られッ……!ど、どうすッ」

「日本語喋れや」

口をパクパクとさせ、テンパっているコイツがあまりにも面白くて、吹き出した。

エスカレーターを降りて、またフロア内の店をまわる。


「こんなことッ……人前でしないでよ!」

「フ〜ン。こんなこと……ってなに?言ってみろよ?」

怒り出す杏をイジメるため、わざと困らせる質問を返す。

ポポポとさらに赤くなる彼女。

つーかさ。

「人前じゃなかったら、色々してもいいわけだよな?」

「ち、違っ!そういう意味じゃ……」

フンッ……問答無用。

焦り出すコイツが、カワイくて……近くにあったほとんど使われてない階段へ引っ張って行く。

「どれがいい?濃厚キスとお触りと、今すぐヤる」

壁と俺で閉じ込めて、顎を掴み上げさせた。

「……お店に戻るということで」

「はい、却下。出血大サービスで、キスとお触り両方な」

杏はヒッという表情になる。

「たっぷり味わえよ?」

耳元でそう囁くと、さくらんぼ色の小さな唇を塞いだ。
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