地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
――杏樹Side――

名前を呼ばれるのは、好き。

陸に呼ばれるのは、すっごく大好き。

自分の名前が、嬉しくて大切で、もっと呼んでほしいと思うんだ。


けど。

今回は、簡単には振り向いてやらない!

陸が悪いんだもん!!

あんなことするから!!

いくら周りに人がいないからって……やっていいことと悪いことがある。


……一瞬、陸を求めちゃったあたしも悪いかもしれないけど。

あ、あんなエッチに近いことッ……するなんて本当に変態悪魔だ。


「……おい、杏。いい加減機嫌直せ」


ひょいと、顔を覗き込まれた。

ヤダ。絶対にヤダ。

謝ってくれるまで、口キカナイ。

フンッとあからさまに、ヤツから顔を背ける。


もう……手……離そうかな。

うん、そうしよう!


そう考えて、陸と繋いでいた左手をパッと離した。
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