地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
だけど、あたしにも不幸が襲う。


──ゴンッ!!

「いたっ!」


閻魔大王から手加減なしのゲンコツを食らいました。

「な、なんで!?」

あまりにも痛くて、涙を浮かべながら陸を見上げる。

あたし、ゲンコツされるようなことしたッ!?

周りにいるカップルたちも、ヤツの行動に驚いているもん!

なんでこんなことしたの!?

と考えていたら……。

「……バカが。なにナンパされてんだよ」

さっきの男の子たちに向けていた時よりは、だいぶマシだけど……。

───ギロっと、睨まれました。


「……ナンパなんてされてないもん。からかわれただけで……」

陸の怖い目を見るのがイヤで、視線を反らしながら返す。

睨まなくたっていいじゃん……。

悪いことしたつもりないのに、怒られるなんて、理不尽だ。

もうイヤ。せっかく、久々のデートなのに。


顔を下に向けて、こぼれ落ちそうな涙をこらえた瞬間……。


「ホント……鈍感」


──グイッ……

あたしの頭を、陸が片手で自分自身の胸元に抱き寄せた。
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