地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
試着室にいたのは、水着に着替えるためで……当然、コイツはそれを着ている。

だが……、似合いすぎだ。


控えめなパステルカラーの小花柄が、白地の三角ビキニにプリントしてある。

首や背中へ結ぶヒモは、赤くてレース付き。

杏の白い肌とキレイな黒髪に、よく似合っていた。

だけど、コイツ……スタイル良すぎるから……。

谷間がくっきり出来ていて……ビキニから豊満な胸が、今にも溢れ出しそう。


……マジでエロい。


その証拠に、周りのカップルたちが杏をガン見だ。

特に、男どもがな。


「ねぇ?ダメ?似合ってない?」

そんな状況に全く気づかずに、鈍感娘は俺に意見を求めてくる。

顔を覗き込むように、少し屈んで上目使いで見つめられた。

「白ビキニって、初めて着てみたんだよ?やっぱり例年通り黒がいいかな?」


杏……谷間強調しすぎ。

女に免疫ないヤツなら、もうノックアウトされてるな。

周りの男どもの視線が熱いし、鼻の下を伸ばしてる……。


「全く……似合ってねーな。さっさと服に着替えろ」

もうこれ以上男どもの目にさらすのは、イヤだ。


そう思って、わざと冷たく返すと……試着室のカーテンを閉めた。
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