地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
さて、どうやって杏樹姫様のご機嫌を取り戻す?


頭ん中で、ぐるぐると考えてみた。


……どうすっかな。


メシ?

本?

アイドルグループ『Blossom』のグッズ?


隣にいるコイツの好きなものを上げてみるが……機嫌を直せるか、わからない。


いっそのこと、今すぐ杏の家に帰って……一晩中朝まで可愛がってやったら、機嫌直すかも?


という考えが浮かんだが……機嫌を直すまで、一切『エッチしない!』と言われるだろうと思ってやめた。


マジでどうすっかな……。


杏と手を繋いだまま、ぶらぶらと様々なショップを歩きながら眺める。



その時───。



あ……。



ひとつのショップの前で足を止めた。


俺が止まったことを不思議に思ったのか、そっぽを向いていた杏も、目の前の店に視線を移す。


「あ……」


彼女の目に喜びが浮かんだことを、俺は見逃さない。


これなら大丈夫かもしれない。


そう思って、杏の手を引いてショップの中に足を踏み入れた。
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