地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
入ったショップには、すき間がないくらい……商品が並べられている。


その商品とは………。


「……カワイイ……」


膨れっ面だった彼女を一瞬にして笑顔にするモノ。


「……閻魔大王だぁ……!」


パッと俺と繋いでいた手を離して、杏は目の前にある巨大な“ぬいぐるみ”に抱き着く。

そのまま……スリスリと頬をくっつけて、ニコニコと笑った。



俺たちが入ったのは、ぬいぐるみを扱う雑貨屋。

店の入り口から見えた妖怪シリーズ・閻魔大王の巨大なぬいぐるみを見つけたから。


ぬいぐるみの背丈は、杏の体の首辺りまである。

マジでデカイ。


「カワイイ……」

彼女はめちゃくちゃ笑顔で、そう呟きながら、閻魔大王に抱き着いていた。


その姿の杏の方が数倍カワイイんだけど。


ようやく見れた満面の笑みに、少しホッとする。



「……抱きまくらにしたいなぁ」


ふと、そんな杏の呟きが聞こえて来た。
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