地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
タイミング悪。

聞こうと思ったのにさ。


「あれ?誰か来た?」

「そーかもな」

インターホンに気づいた杏が、俺の腕の中から離れていく。


「誰かな~?」

そう呟く声が、廊下から聞こえた。





3分後ーーー。


「なにこれ!?」


リビングに戻ってきた杏の第一声。

彼女ひとりで玄関から戻ってきたのではなく。

杏くらいの女なら、軽々と入れそうな大きさのダンボールを抱えて。

もちろん、彼女が、そんな大きさの箱を抱えられるわけじゃない。

式を作って、ここまで運ばせたんだけど。


「誰からだろう?」

杏が、運送会社の伝票が貼られたところを見る。


もう、バレるか。

伝票の依頼主を見たら、誰から来たものかわかってしまうからな。



「えっ? 陸から……?」

ポツリと、杏の口から俺の名前が出てきた。

不思議そうな目をこちらに向けられる。


「開けてみれば?」


ソファーに座ったまま小さく笑って、彼女を促した。


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