地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
これが、閻魔大王と八岐大蛇は不機嫌MAXになった理由。

どうしても、橘くんを招きたくないらしい。


「なんで、アイツも来ることをOKしたんだよ」

イライラした様子の陸が問いかけて来た。


「だって、あの状況でダメだなんて言えないよ。断って、俺って友達じゃないの?って言われたら終わりだよ?」

本当は、あたしも気が進まない。

あまり招き入れたくはないんだけど。

断れないんだもん……。


「……マジ最悪」

陸にそう返すと、会長が小さくつぶやく。

相当お怒りのようだ。


今は、大学の正門に来たところ。

みんなが集まってる。


「蓮、しょうがないじゃない。今日はあの人も一緒で」


クルクルの縦ロールをハーフアップにしたフランス人形のありさちゃんが、会長をなだめた。

そして、彼女は橘くんがいる方へと目を向ける。

あたしも見た。


「へぇ~君が杏樹ちゃんの幼なじみなんだ~?」


えっ……!

おいおいおいおい!

ち、近くないですか?

柚莉に橘くんが話しかけてるんだけど、その距離がかなり近い。

30センチくらいかな?

隣にいる相澤くんの表情が、少し引き攣ってるよ!

彼のあんな顔なんて見たことない。

柚莉なんて、思いっきり顔引き攣ってる。


「……あーちゃん、やっぱり彼は招かなかった方がよかったかもね」


ありさちゃんも、橘くんの行動に引いてた。


「よし、杏樹ちゃん、行こうか!」

まるで、自分の家に行くように、橘くんが言う。

この場にいる全員が重いため息をつく中……空気の読めない彼も連れて、あたしの家にと向かった。







< 282 / 622 >

この作品をシェア

pagetop