地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
ーー陸sideーー
≪おい、ホントに明日連れて来るのか?≫
「あぁ、もうそれしかないだろ」
散々な食事会から、1週間後の金曜日。
深夜に近い時間。
ソファーに座り、ケータイで、蓮と電話中。
≪でも、アイツあーいうとこキライなんだろ?≫
「だな、できれば一生行きたくないとか言ってた」
≪大丈夫か?逃げ出したりするんじゃねぇ?≫
蓮が杏のことだからと、心配する。
うん。その可能性は十分にあるな。
杏なら、術を発動させても逃げたがるだろう……。
「仕方ねーだろ。あっちが、杏だけはと指名して来てんだから」
ハァ~と、デカいため息をつく。
こんなに悩んでいるのは、明日のこと。
ちょっと?いや、だいぶ大きなイベントがあるもんで。
それも、杏が1番キライなものだ。
≪アイツ、ぜってぇ怒るぞ≫
「覚悟の上だ。けど、そろそろ慣れてもらわなきゃ、将来がやっていけねーんだよ」
≪杏は神崎の社長になるんだもんな。イヤでも関わることを免れねーし……≫
そうなんだ。
明日のことは、杏の将来のためにも必要なことであるのはたしか。
杏の親父さんと、おじい様からも頼まれてるから、断れない。
「明日、どうやってでも連れて行く。逃げたら、鬼ごっこすっから頼むな」
≪わかった≫
そう言って、蓮との電話を切った。
もう一度、デカいため息をつく。
自分の隣に置いた紙袋の中を見た。
明日、杏が不機嫌になることは覚悟しよう。
でも、どうしても明日だけは……泣こうが、わめこうが、我慢してもらうしかない。
どーか、穏便に済みますように。
心の中で、ひとり祈った。
≪おい、ホントに明日連れて来るのか?≫
「あぁ、もうそれしかないだろ」
散々な食事会から、1週間後の金曜日。
深夜に近い時間。
ソファーに座り、ケータイで、蓮と電話中。
≪でも、アイツあーいうとこキライなんだろ?≫
「だな、できれば一生行きたくないとか言ってた」
≪大丈夫か?逃げ出したりするんじゃねぇ?≫
蓮が杏のことだからと、心配する。
うん。その可能性は十分にあるな。
杏なら、術を発動させても逃げたがるだろう……。
「仕方ねーだろ。あっちが、杏だけはと指名して来てんだから」
ハァ~と、デカいため息をつく。
こんなに悩んでいるのは、明日のこと。
ちょっと?いや、だいぶ大きなイベントがあるもんで。
それも、杏が1番キライなものだ。
≪アイツ、ぜってぇ怒るぞ≫
「覚悟の上だ。けど、そろそろ慣れてもらわなきゃ、将来がやっていけねーんだよ」
≪杏は神崎の社長になるんだもんな。イヤでも関わることを免れねーし……≫
そうなんだ。
明日のことは、杏の将来のためにも必要なことであるのはたしか。
杏の親父さんと、おじい様からも頼まれてるから、断れない。
「明日、どうやってでも連れて行く。逃げたら、鬼ごっこすっから頼むな」
≪わかった≫
そう言って、蓮との電話を切った。
もう一度、デカいため息をつく。
自分の隣に置いた紙袋の中を見た。
明日、杏が不機嫌になることは覚悟しよう。
でも、どうしても明日だけは……泣こうが、わめこうが、我慢してもらうしかない。
どーか、穏便に済みますように。
心の中で、ひとり祈った。