地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
陸から受け取って、中身を覗き込む。

ん?んん!?

ちょっとこれ……!

着替えろというので、服かなんかかな?とは思ったけど……。


中に入っていたのは、某有名ブランドの小花柄のブラウスとクリーム色のふわミニスカート。

柚莉が、読モをしているHoneyという雑誌に載っていたのを見たから知っていた。

たしか、限定商品で……すぐに売れ切れた服だって書いてあったかな?

でも、それをどうして陸が持っていて、あたしに着させようとするのかわからない。


たくさんの?マークが頭の上に浮かぶ中、陸が一言告げた。


「すっぴんのままでいい。出かけるから、15分で支度しろ」

「え?え?」

「はい、残り14分57秒」


いきなりカウントダウンが始まり、陸に急かされる。

ヤツは自分の腕時計を見ながら、あたしが着替え終わるのを待っているようで……。

何のつもりなんだろ?

デート?

いやいや、約束してなかったし。

それに、デートなら……ちゃんと準備したいもん。

出かけるのにメイクしなくていいって……どういうこと?

たった15分なんて、髪を巻く時間もないよ!

わぁ~ん!なんでこんな無茶なことをいうのよぉ~!


「とにかく急げ。俺は下にいるから」


あたしがわけも分からずにテンパってるというのに、この彼氏様はそれだけ言うと、部屋を出て行く。


とにかく!着替えなくちゃ!!

紙袋の中から、服を取り出して、ベッドに置く。

部屋着を脱いで、ブラウスに袖を通した。

ノースリーブっていうわけじゃないんだけど、ちょっと肩が出るデザイン。

スカートも着てみたけど……恐るべし変態閻魔大王。

サイズがピッタリだ。

最後に、ブラウンのベルトをウエストの辺りに巻いて完成。

シュシュで適当に結んでいた髪を下ろし、急ピッチでブローをして、最低限必要なものを小さなバックにつめる。


何とか支度を終わらせて、1階に降りた。



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