地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
ーー樹里sideーー

3人を門から見送り、渉と一緒に家の中へ入ろうとする。


その時。


ーーカシャッ


え?

何か音が聞こえた。


「渉、今何か聞こえなかった?」

「ん?いや?」

「そうかな?」


空耳かしら……。

まぁ、渉が気にしないならいいかな。

だって、私の旦那様は……陰陽師だもの。

何かあったら、すぐに気づくものね。


そう考えて、気にしないことにした。


「とはいえ、ホントに杏樹は大丈夫かしら?」

「陸くんがついているし、大丈夫だろ」

「逃げ出すこともすると思うわよ?」


さっき出て行った娘のことを話していると、お義父さんが話に入ってくる。


「杏樹は簡単には帰ってこん。ひとつ、仕組んでおいたからのぉ~」

「「え?」」

渉と一緒に聞き返した。


「まさか、仕事を?」

「どーかのぉ~」


渉が問いかけても、お義父さんは笑って流すだけ。


この人は、たぶん……あの場所に、何かを仕組んだ。

それを杏樹に解決させるために---。

ならば、娘は、お義父さんに与えられた命令をこなすしかない。

命令とされていなくても、やらざるを得ないことになっている。


この人は、本当に喰えない人だ。

さすが、神崎一族の当主。

杏樹は振り回されて大変ね?


そう思いながら、家の中に入った。




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