地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
――杏樹side――

午後12時。

「では、この扉が開いたら、みなさんで出てきて下さい」

Tシャツにジーパン姿の男性が、あたしたちに向かってそう告げる。

あたしたちは、セットされたスタジオの裏にスタンバイしていた。

司会者が、呼ぶのを待って、ここから得ることになっている。


そう説明をしてくれた彼は首から色々とストラップを下げていて、その中には名札もあった。

名前はよく見えないけど、このテレビ番組のアシスタントみたい。


忙しいのか、それだけを言うと、パタパタとどこかへ行ってしまった。


「杏樹、いよいよだね!」

柚莉はテレビに出れて嬉しいのか、なんだか落ち着かない。

そわそわしている感じ。


「うん」

小さく頷く。

本当はこういうのイヤだけど、あたしがこれ以上ワガママ言ったら陸が困っちゃう。

陸だって、何度も出演依頼を断ってくれたんだから、もう仕方のないことだよね。

そう……仕方ない。

4時間我慢すれば、終わるもん。

がんばったら、陸にご褒美もらうんだから!


――ギュッ

右手を握りしめて、自分に大丈夫だと言い聞かせた。

その時。

「みなさん、こんばんはー! 今日も始まりましたクイズバトルです!!」

男性司会者の声が聞こえる。

あ、始まったんだ……。

「今日は、夏の特別スペシャル拡大版として、4時間でお送りします。そのため、豪華ゲストもたくさんいらっしゃいますよー!」

女性の声で、ハキハキとしたしゃべり方。

司会者のアシスタントとして、アナウンサーの人の声かな?


ここに来るまでに、陸たちから番組のことは聞かされていた。


このクイズ番組は、チーム対抗戦。

よく出ているのは、タレントチーム、お笑い芸人チーム、アイドルチームらしいの。

そして、毎週、素人だけが集まったQチームが出るらしい。


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