地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
なんで素人が出るのかっていうのは、芸能人に挑戦するって意味らしい。

素人にクイズで負けるとか、テレビの芸能人は恥さらしじゃん?

おまけに、クイズを間違えたら罰ゲームつき。

零ちゃんが言うには、頭脳だけじゃなくて、体力もいるらしい。

あたしはこの番組を見ることがないから、全然わからないんだけど。

陸が、『やれ』と言った問題に答えておけばいいって言ってくれた。

あとは、黙っていてもいいからと。


素人チームの名前がQチームと言うのは、英単語のqualified(クオリファイド)の頭文字をとっていて、“芸能人に挑戦する資格を与えられしチーム”という意味があるんだって。

この知識は、ミーハーな柚莉が教えてくれました。


クイズ問題は、本当にガチンコらしいんだ。

だから、やるときはやらなくちゃ。

一日ぐらい、がんばります!

気合を入れて、両方の頬を軽く叩いた瞬間。


「では、今回のQチームに登場していただきましょう! どうぞ!!」


司会者の声がして、目の前にあった扉が開き始める。


スタジオの裏にいたため、少しだけ薄暗かったのだけど番組セットの照明が入り込んできた。


「行くか」

先頭にいる陸の声に全員で頷いて、扉の向こうへ歩き出す。

あたしは、目立たないようにみんなの1番後ろからついて行った。


――パチパチパチ……

観覧のお客さんたちからの拍手がスタジオの中をいっぱいにする。

繭ちゃんも、そこにいるんだよね。

お利口さんにして見てるからと言っていたから。


まばゆいライトを浴びながら、みんなの後ろについていくと、女性の歓声が起こった。

まぁ……そうですよね。予想できましたよ。


あたしたち6人のうち、柚莉とあたし以外はみんな身長が高いので、周りの目線はそちらに向かう。

柚莉は、小さくて目立ちにくいからと自ら前の方にいるし、本当に目立たないのはあたしくらい。

だから、キョロキョロとしていても、とがめられたりはしないのです。


それで、まわりの女性を見渡すと……あらあらと言わんばかりに、陸たち3人を見て頬を赤く染めていました。





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