地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
ま~モテることモテること。

そういえば、みんなでこういうメディアの前に出たことはなかったよね。

これだけ、美男美女が集まれば注目もされるだろうな。

でも、地味子もいるんだけどね。


ボーっと眺めていると、司会者の男性が、陸に近づいてくる。

「今回のQチームは、番組のプロデューサーが直々に依頼した人たちなんだよ。最強の大学生チームです!!」

そう説明され、陸は王子様スマイルで何やら質問に答えていた。

その笑顔で、スタジオ中の女性をメロメロにしているんだけどね。

みんな騙されてるよ……。


司会者と陸の会話が終わり、スタジオの隅に移動する。

まだ誰か入ってくるらしい。


「では、今日の芸能人ゲストもひと組目に登場してもらいましょう!」


大きな司会者の声がして、あたしたちが入ってきた扉が開いた。


え?


中から出てきた5人組を見て、釘付けになる。


ウソ……本当に芸能人だったんだ……。


ポカンと口を開けて、その人たちを凝視していたら、彼ら5人があたしの方を見た。

彼らも、『え?』という表情になる。


だけど、その顔は一瞬だけで。

すぐに、お客さんからの歓声がスタジオの中を満たした。

彼ら5人は、カメラに向かって手を振っている。


「すごい歓声ですね。さすが、今をときめくトップアイドルといいましょうか」

女性たちからのおさまらない歓声に、司会者も引き気味。

「今日のひと組目のアイドルチームに、junkie(ジャンキー)が来てくれました!」

女性アナウンサーがそう説明をした。


その5人組とは……さっきあたしが廊下でぶつかり、エレベーターの位置を訪ねた人たちだった。


すると、近くで……と言うか隣で、かなり騒ぐ声が聞こえる。

「ウソッ……junkieが来るなんてっ!! あんな近くに広人様がいる!」

顔を彼らのいる反対方向に向けると、目をハートにした柚莉が立っていた。


あなた……相澤くんと言う彼氏がいるじゃないですか……。

そう思ったのだけど、今までの経験から柚莉なら騒いでもおかしくない。
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