地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
柚莉さんって、イケメンとか大好きだからさ。

高校の時も、毎年の入学式の度に、『かっこいい~』って口癖のようにイケメンを見つけていたもんね。

あなた、ホント……相澤くんに、こんなところを見られたらどうするんですか。

いくら、温厚で優しい相澤くんでも、怒るんじゃない?


「柚莉、目がハートだから」

「だってだって!! あのjunkieだよ!? 広人様も圭一様も全員いるじゃない!!」

興奮状態の彼女は、小声ではしゃいでいる。

うん、もう言ったってムダだ。

ここにいる誰よりも、テンションが高い。


「どうしよう!! 握手してもらえないかな?」

「はいはい。落ち着こうね」


一向に落ち着かない柚莉を、本当にどうしようかと思う。

術を使って黙らせようかな?

いや、使っちゃヤバイよね。

さっきは気絶させちゃったけどさ。

横目でソワソワしている彼女を見た。


う~ん、というかですね。


「junkieっていうあの人たち何してる人?」

「え?」

ボソッと呟くように問いかける。

考えていた通り……ソワソワしていた柚莉が、ピタッと固まった。


「杏樹? あの方々を知らないと?」

「うん!」


――コクン

思いっきり彼女の方を向いて、頷いて見せる。

すると。

「ゥ……ソ……!?」

あまりにも驚きすぎたのか、柚莉は目を見開いて、声も出ない。

なんか……意識が飛んでるような。

「だって、テレビ見ないんだもん。ここにいるお客さんの歓声の意味が分からない」

テレビに出る人っていうのは、わかるけど、何かで有名なの?

首を横に傾げると、

「あのね~~!!」

何とか、飛んでいた意識を取り戻した彼女が、junkie講座を始めてくれた。
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