地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
今の日本中の女の子たちが夢中な5人組。

それを言われて、

「日本中じゃないよ。まったく存在さえも知らない人ここにいるよ、ほらあたしが!」

と、柚莉に言うと、

「だまらっしゃい!」

と怒られた。

こ、怖い……。



柚莉からjunkie講座を聞いて思ったこと。

あたし、全然興味ないや。

5人組の容姿を見ると、まぁ……カッコいいかな?とは思う。

だけど、やっぱり閻魔大王の方がいいや。

テレビの中の男の人たちには、興味ないし。

彼らより、blossomの女の子たちを見ている方がいい。

あ、blossomっていうのは、国民的大人気の女の子アイドルグループのこと。

もうね、ホントッにかわいい子ばっかりなんだ。

休日は、陸の部屋でblossomのDVD鑑賞ばっかりしてます。

陸はあたしが何度も見ているから、呆れているけどね。

実は、繭ちゃんにも見せて、ふたりでハマっているんだ!

それで、あたしがピアノでblossomの曲を引いて、繭ちゃんが歌うという遊びを最近している。


明日は日曜日。

バイトも、夕方からだから、お昼はピアノで遊ぼうかな。

あっ! そうだ!! 買い物にも行きたいな~。


「杏樹、いい? junkieのことわかった?」

「あぁ~うん~」


すでに、あたしの頭の中では明日の予定を考えていたのだけど、隣からただならぬ気配を感じて、顔を横に向けた。


「杏樹ちゃん、わかった?」

「は、はいっ!」

大好きなjunkieの話を、あたしは半分うわの空で聞いたからか、柚莉さんは鬼の形相になっている。

慌てて、怒りをこれ以上向けられないように、大きく頷いて見せた。

お、恐ろしや……。

でも、その時。

「では、ふた組目のアイドルチームに登場してもらいましょう!」

司会者のマイクを通した大きな声が聞こえる。

話ばっかりしていて、忘れていたけど、今テレビの収録だったと思い、芸能人が登場する扉の方に目を向けた。
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