地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
†バトルはバトルでも
「さて、第10問、“硬貨”の対義語は?」
――ピンポーン!
司会者の問題の出題に、素早く目の前にある解答権を得るためのボタンを柚莉が押す。
「はい、1番早かったQチーム! お答えをどうぞ!」
ニコニコとした女性アナウンサーに、言われて彼女は元気よく答えた。
「紙幣!」
その瞬間に、正解であることを告げるチャイムが鳴る。
「またまたQチーム正解! 今までのところ、すべて正解です」
男性の司会者が、マイクを持って楽しげに告げた。
「すご~い!」
お客さんの方から、感心というような声が聞こえてくる。
番組の収録が始まって、早くも20分近くが経った。
今は、国語系の問題が行われていて、早押し。
正解を出した柚莉は、チームのみんなにハイタッチをしている。
「やったよ杏樹!」
「うん、ありがと」
うれしそうな表情の彼女を笑顔でねぎらった。
今のところ、他のチームよりも一歩リード中なんだ。
すると。
「なぁ! 今回のQチームすごくないか? この子たち、何者?」
ふと、男性司会者が、アナウンサーの女性に問いかける。
フツーの大学生だよね、あたしたち。
そう考えていたら、女性アナウンサーは『待っていました!』と言わんばかりの表情で、何かが書かれた原稿みたいなものを読みだした。