地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
隣にいたあたしにしかそれは聞こえてないみたい。

ほえ?

会長は陸が『会社員』と答えた理由がわかるの?

今度はじーっと会長を見つめる。

でも、会長はあたしを一瞥するだけで、何も言わない。

なによ~!! 自分だけわかっているなんてズルい!!

プーッと頬をふくらまそうとした瞬間。


「なら、高瀬くんは?」

「……公務員ですかね」


司会者からの質問に、サラッと答えた会長。


「朝比奈さんは?」

「えっと、OLです」


フフッと口角を上げて、微笑んで答える零ちゃん。


「西国くんは?」

「家業の手伝いです」


零ちゃんとアイコンタクトをとった後、ニッコリと笑って返す西国くん。

う~ん、みんなどうしちゃったの?


「じゃあ、松沢さんは?」

「高校教師です」


ニコニコとかわいらしい笑みを浮かべている柚莉。


「最後に、神崎さんは?」

「……OLです」


よくわからなかったので、陸が答えたものと同じになるように、そう返した。


でも、この答え方は、本来の自分の未来を隠している。


陸は社長さんになるし。

会長は警察トップへの道へ進むだろう。

零ちゃんは朝比奈家の令嬢として、日本を動かす人材になる。

西国くんは有名華道の家元となるだろうし。

柚莉は、のちのち松沢学園の理事長になる。

あたしだって、いつかは神崎の代表になる。

そのために、今大学に行っているんだから。

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