地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
これでいい。このメガネは、あたしの霊力をまわりに隠してくれるもの。

慌てて準備したときに持って来ていたんだけど、これをかけておけば……神崎の人間がいるとは妖怪は思わない。

気配を知られることなく、退魔調伏ができる。

そう考えていた時だった。


「あーちゃん、これっ!!」


小さな繭ちゃんが、何かを持ち上げて、差し出す。

それは、彼女が家を出る時に背負った、八岐大蛇のぬいぐるみ付きのリュックだった。


「なんでこれを?」


まわりのスタッフさんは、観客をスタジオの外に出そうと必死。

繭ちゃんの手を引いて、彼らの邪魔にならないようなところまで退いた。


「じーまが、何かあったらあーちゃんに渡せって」

「じいちゃんが?」

「うん!!」


コクンと大きく頷く彼女から、リュックを受け取る。


中を開けてみると。


「えっ……」


まさかのモノが入っていて、本気で驚いた。


そのリュックの中に入っていたのは、あたしが必要としていたモノ。

大量の呪符に、数珠……それに、愛用の黒い手甲だった。


「あーちゃん、これで退治できる?」

「うん! ありがとう!!」


これで、何も問題はない。

奴らが暴れてきても、対処できる。

数珠は首にかけて、服の中に隠した。

呪符や手甲もポケットなどにしまって、陸たちがいるところに向かう。


今度は繭ちゃんも一緒。


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