地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
そして、時間切れというように……山姥たちの体が動き始める。


「フッ……おいらたちの餌になれ―――!」

「あ、危ないっ!」


奴らの爪の先は、今にも陸の顔に刺さりそうで。

大きく開いた口は、首筋にかぶりつこうしていた。


その時。


――ドカンッ―――!


大きな爆発音が、スタジオ内に轟く。

室内が揺れたように感じた。


「り、陸っ!?」


会長の慌てた声が聞こえる。

彼はちーちゃんを抱えたままだった。


辺りを白い煙が覆う。

その煙が晴れた時……。



「え? なにあれ!」


陸がいる方を見た零ちゃんが、思わず声を上げた。

その声に、みんなが再度注目する。

その光景は、普通の人間なら目を疑うようなものだった。

山姥たちの鋭い爪が、陸まで1メートルまで迫っていて……。


だが、その1メートルだけは絶対に近づけずにいた。


近づこうとすればするほど、山姥たちは雷電を受けたように陸から弾かれてしまう。


「なんで……襲われねーんだ?」


会長が呟いた。

――バチッ!!

山姥たちが弾かれると聞こえる音だ。


「お前何をしたっ!?」


腹の底から出した低すぎる山姥の怒りを含んだ声。

そう問い掛けられた陸はというと……。

ちょっと自分の状況にびっくりしたのか、ポカンとしていた。


「お前、術を使ったのか!」


陸の真後ろにいる山姥が叫ぶ。


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