地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
「な、何もしてねえ……」
ポツリとそう呟く陸。
そりゃそうよね。
陸自身は何もしてない。
「結界を強める」
静かに告げると、あたしだけにしか見えていなかったモノがみんなに見えだす。
「あっ!」
零ちゃんが驚いたという声を出した。
陸が山姥たちに襲われない理由。
それは……ヤツのネックレスとヤツ自身にかけたあたしのお守りの効果が発揮されているから。
陸の立っている場所から、半径1メートルにドーム状の結界が張ってある。
この区域にいれば、ケガをすることは絶対にない。
あたしが倒れない限りはね。
「おいっ! こやつの術ではないぞ。もっと強いヤツが守っている!!」
山姥たちが、ようやく陸の霊力の質とは違うことに気付き始めた。
奴らは、しわだらけの顔にもっとしわを寄せて、真っ赤に怒り、怒鳴るように叫ぶ。
「どこにいる! このガキの守護者、出て来な!!」
ふう~動きますか。
黒い手甲を両手にはめて、声を上げた。
「ここにいるけど? なにか?」
一気に、この場にいる全員の視線を受ける。
「え? か、神崎さん!?」
西国くんは、あたしがいつの間にみんなの傍から離れていたのかと驚いていた。