地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー


「お前が術者か?」


山姥のひとりが、あたしを睨みながら問いかけてくる。


「そうだけど。というか、さっきまでの術もあたしがやってたのに、気が付かなかった? 鈍い妖怪さんだこと」


口の端だけを上げて、バカにした表情を作った。


さぁ、あたしの挑発に乗ってきなさいよ。

たっぷり相手してやるからさ。


「なにっ!? この小娘が!! どこの術者じゃ!?」


上手くあたしの挑発に乗ってくれた山姥たちに対して、フフッと笑うと……かけていたメガネを外す。


抑えていた霊力が解放されて、あたしの下ろしていた髪をひるがえした。


「さぁ……神崎と言えばわかる?」

「「「「「「えっ……」」」」」」


苗字を告げた途端に、顔色が変わる山姥たち。


「か、神崎だと!?」

「なぜ、あの家の娘が!」


口々に言う奴ら。


はぁ~。

早く、あたしの相手してくれないかな。

ストレス発散にちょうどいいよね。

ここに連れてこられて、ちょっとイラついてたからさ。



「さて、大人しく山に帰るか……地獄に還るか。どっちか決めていただきたいな」



ニッコリと微笑んで、提案した。


奴らからは、即答で返事がくる。



「そんなの決まっとる! お前の首と、この人間どもを山に持ち帰るんじゃ!」



んじゃ、思いっきり狩りますか。


両手で、グーパーグーパー体操をして、首をグルグルと回した。



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