地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
山姥たちの標的が完全に、あたしになったのを見て、陸に声をかける。


「陸さ~ん。お疲れ、もうみんなのとこに行っていいよ~」


なんとも、気の抜けた口調だなと自分でも思った。


ん~でも、まったく山姥たちに対して怖くないんだよね。

憤怒の形相で睨まれていても。


あたしの許可が出たので、陸はさっとみんながいたスタジオの隅に移動した。


それをチラッと横目で見ていた山姥のひとりが、あたしに問いかけてくる。


「人間どもを集めたら、狩りやすくなるのはおいらたちだぞ?」

「あらそう?」


ニッコリと笑って手だけで、『やれるものならどうぞ?』と示した。


――ビリッ


山姥たちの妖気が強くなる。



その瞬間―――。


「キャアア!」


柚莉と零ちゃんの悲鳴が聞こえた。


山姥たち6人が、みんながいるスタジオの隅に向かって襲い掛かろうとしてる。



「……指一本触れられないことをわからせてやる」


その場から動くこともなく、ポケットから十数枚の呪符を取り出すと、みんなのいる方向に向けて一気に放った。


< 350 / 622 >

この作品をシェア

pagetop