地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
――シュッシュッ……
呪符は四方八方に飛んでいく。
そして、
「なに!?」
山姥たちの口から驚愕の声が上がった。
なぜなら……。
数十枚の呪符が横一列にずらっと並び、みんなの周りを囲むように一周して結界を張っているから。
「あ、ちなみにそれ毒入りだから。触れたら……体溶けるよ?」
ニッコリと笑って、座っていたセットから降りる。
だけど、説明が遅かったようで。
「ギャアアアアア―――!」
結界に触れた山姥のひとりが、悲鳴を上げた。
――ジュッジュッ……
触れた右手の皮膚が、純度の塩酸にでもつけたように溶けていく。
山姥の皮膚が断片となって床にボトボトと落ち、血が垂れた。
結界に触れた山姥の顔が醜く歪む。
「ああぁぁぁぁぁあああああ――――――!」
皮膚の下の肉まで溶け出し、スタジオ中に悲鳴がこだました。
「お前、絶対に許さんぞ!」
残りの山姥たちの顔色が一層怒りに満ちる。
おぉ~怒った怒った~。
クイッと口角を上げて、余裕を見せた。
両手を広げて、『どっからでもどうぞ』と示す。
その次の瞬間。
――ビュッ!
一斉に山姥たちがあたしに飛びかかってきた。