地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
みんなと同じように床に座り込んでいた柚莉が、一瞬で恐怖の表情になり、あたしに向かって指をさして何かを訴える。
「どしたの? 柚莉?」
すると、陸の表情までもが一変した。
「杏! 後ろ!!」
――ビリッ!
背後に妖気を感じる。
陸の言葉でさっと印を作り、破滅の言葉を告げた。
「失せな」
――グシャ
その瞬間に、後頭部の辺りで何かがつぶれたような音がする。
クルリと後ろを振り返ると、先ほど毒に触れて体が溶けていた山姥の頭だけが転がっていた。
これ以外は溶けてしまったみたい。
毒の破壊力すごいでしょ?
奴の目からは眼球が飛び出て、血の涙が流れている。
皮膚も赤くただれ……頬の骨がむき出し。
髪まで溶かしていたのか、脳の一部が見えていた。
「おのれ~~神崎……」
まだ恨み言をいう力は残ってるんだ?
「その先は、あの世で言いなさい。滅!」
印を山姥の頭に向かって振り落とし、木っ端みじんにした。