地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
そして、blossomのメンバーたちからも話し声がわずかだけど聞こえた。
「どうする? こんな体じゃ、仕事できないよ」
ちーちゃんが悲しそうな顔をしている。
「来週、滝本の会社の仕事入ってたよね?」
「それまでにこのケガ治るかな?」
「治さなきゃだめだよ! せっかく来た仕事なんだから」
他のメンバーもコソコソと話していた。
彼女たちも、酷くはないけど……簡単には治らないようなケガをしている。
“アレ”やっても……いいよね。
もう陸にしかやらないって決めたけど。
必要な時だと思うから……。
――カタン……
立ち上がってすぐだけど、またその場に膝をつく。
「杏?」
あたしの様子が変だと思ったのか、陸が会長との話をやめて、こちらを向いた。
アイドルたち以外全員の視線が、あたしの背中に集中する。
「すみません、両手の平を……出してくださいますか?」
まずは、ちーちゃんから。
ニッコリと微笑むと、彼女は顔を赤くした。
え? なんで?
疑問に思ったけど、ちーちゃんはおずおずと両手を出してくれる。
その手を握ろうとした。
しかし……。
「杏樹っ!」
陸の怒鳴り声が背後から聞こえる。
「陸は黙って見てて」
ヤツが、あたしの名前を略さずに呼ぶときは、怒った時。
さすがは、彼氏だね。
今からすることを見抜いてる。
「杏樹」
冷静に返したあたしに対して、今度は怒ることなく……諭すような口調で名前を呼ばれた。
「どうする? こんな体じゃ、仕事できないよ」
ちーちゃんが悲しそうな顔をしている。
「来週、滝本の会社の仕事入ってたよね?」
「それまでにこのケガ治るかな?」
「治さなきゃだめだよ! せっかく来た仕事なんだから」
他のメンバーもコソコソと話していた。
彼女たちも、酷くはないけど……簡単には治らないようなケガをしている。
“アレ”やっても……いいよね。
もう陸にしかやらないって決めたけど。
必要な時だと思うから……。
――カタン……
立ち上がってすぐだけど、またその場に膝をつく。
「杏?」
あたしの様子が変だと思ったのか、陸が会長との話をやめて、こちらを向いた。
アイドルたち以外全員の視線が、あたしの背中に集中する。
「すみません、両手の平を……出してくださいますか?」
まずは、ちーちゃんから。
ニッコリと微笑むと、彼女は顔を赤くした。
え? なんで?
疑問に思ったけど、ちーちゃんはおずおずと両手を出してくれる。
その手を握ろうとした。
しかし……。
「杏樹っ!」
陸の怒鳴り声が背後から聞こえる。
「陸は黙って見てて」
ヤツが、あたしの名前を略さずに呼ぶときは、怒った時。
さすがは、彼氏だね。
今からすることを見抜いてる。
「杏樹」
冷静に返したあたしに対して、今度は怒ることなく……諭すような口調で名前を呼ばれた。