地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
まったく。

頭硬いんだから。


「なんのために、あたしのこの力があると思ってんの?」


後ろを振り返って、ギロリと睨んだ。


「……」


ヤツは言葉に詰まる。

いくら陸でも、これは譲れない。


まわりの会長たちは、不思議でたまらないというような表情だ。
だよね。

これから見せるものは、柚莉と陸以外見せたことなかったんだから。


「さてと。始めますか―――」


反対を示した陸をどうにか納得させたので、ちーちゃんの方に向き直した。


「な、何をするの?」


ビクビクとした不安げな表情の彼女。


「ちょっとチクッとはすると思いますが、すぐに終わりますから」


フフッと笑って、“治癒の術”を発動させる。


「彼女の身の禍、我が力にて……癒せ」



――パアアアア……


淡い桜色の光が、ちーちゃんの体を包み……すべてのケガを治していく。


あたしが1番得意な術がこれだ。

滅多にやらないけど。


光が徐々に薄れてなくなった時、彼女の体にあった傷は、すべて消えていた。


「え? すごいっ……」

「ホントに治ったの?」


まわりから信じられないとでも言いたいような声が上がる。


「お前、何して……」


雷という人が、マジマジとちーちゃんを見た。


彼女の手足にあったケガが消えたので、驚きを隠せない様子。


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