地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
だが、他のメンバーは少し後ろから見ているだけだったが……コイツは杏の顔を興味津々という感じで見てくる。


ゲッ……また惚れられたか?


雷は俺よりも身長が低かったので、俺から見下ろされているような感じ。


ヤツは杏の顔を覗き込む。


「なにか?」


笑顔を張り付けて、問いかけた。


「コイツ、本当にさっきのヤツか?」

「そうだけど」

「さっきの術って言うのか? 神業みたいだったな!」

「……」


無言で雷を見下ろす。

コイツ、何が言いたい?


ジッと見ていたら、迎えの車が到着した。


――ガチャ!


「社長!」


車の中から、血相を変えた秘書の北原が出てくる。


「なんでお前がいる」


俺が呼んだのは、梶原さんの運転する車だけで、秘書まで呼んだ覚えはない。


ギロリと睨むと、北原は小さくなりながら返してきた。


「あ、あのっ……今日社長がテレビに出られると聞いて……そのお迎えの待機を……いやっでも、今は杏樹様がっ……!」


雷同様、何が言いたいのか、さっぱりわかんねえ。


「まったく、もういい。この近くのホテルをどこでもいいから一室取れ」


ため息をつきながら、命令した。


「社長。ここからですと、レガリアが1番近いのですが……」


少し考えたらしい北原から、とあるホテルの名前が出る。


< 367 / 622 >

この作品をシェア

pagetop