地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー


「ホント?」


確かめるように問いかけると、フッと笑われる。


「できる」


その一言だけで、陸なら本当にできそうな気がしてきた。


陸は表情を引き締めると、右手の小指を出す。


「お前の治癒の術は、滅多なことがなければ使うな。いいな?」

「うん」


あたしも左手の小指を出して、陸のと絡めた。

指切りをして離すと、そのままヤツは部屋の時計を見る。


「8時か……」


その声を聞いて、ベッドの傍にある窓のカーテンを開けた。

見えた街は、もう煌々とネオンの明かりで輝いている。


「あたし、どのくらい寝てた?」


外の景色から視線を陸に戻しながら聞いた。


「んー3時間くらいか」


そんなに?


かなり寝てたのね。


というか、あたし……。


「家に何も言ってない!」


あわわと口をパクパク開けた。


じいちゃんに怒られるよ!

連絡しているならまだしも、何もしてないとなると……家に帰ったら雷が落ちる!!


突然叫んだあたしに、陸は『あぁ……それか』という顔をする。


「ここに来た後、おじい様に連絡はした。お前が起きたら、送り届けるとも言ってある」

「え? ホント?」


その言葉に、陸が仏様に見えた。


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