地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
だけど、問いかけても、イモリは首を振るだけ。


「なんなのかは知らねえ。でも、とにかく気をつけろ。俺たちの勘だがな」


そう言うと、クッキーを口に入れる雑鬼。

あたしをはじめ、周りの友達が巻き込まれようとしている?


なにそれ?

それに、陸も?


「わかった……警戒はしとく」


何が起きるのか、まったくわからない。

でも、陸たちは絶対に守らなきゃ。


「俺らも、何かあったら知らせるよ」


クッキーのカスがついた手をパンパンとはらいながら言う。


奴らに任せよう。

実は、雑鬼たちの情報網ってすごいからさ。


今まで知りたいことがあれば、この子たちに聞いたりしてたし。



「うん。お願いね」


イモリは、ニッと笑うと、クッキーの袋を口でくわえて、再び四足歩行になると、タタタッと素早く動いて夜の闇に消えて行った。



イモリがいなくなった夜道を、ひとりで歩く。


家は、もう目の前だった。


「また新たな妖怪でも出るのかなあ……?」


そんなことを呟きつつ、門をくぐる。


家に入って、リビングに行くと、お父さんたちが帰ってきていた。


「杏樹、お帰り」

「ただいま」


バックを近くのソファーにおいて、腰を下ろす。


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