地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー


見事命中し、確かに手ごたえを感じた。


――カシャーン……


道路の地面に液晶画面を伏せた状態で、蓮の黒いケータイが落ちる。


「いっっ……!」


――ガクン……


殴られた頭を押さえて、膝から崩れ落ちる体。


黒づくめのヤツは、さっきだけでは終わらずに、地面に倒れた蓮の頭を殴り続けた。




2回が3回。


3回が4回。


黒づくめの男は、狂ったように金属バットを振り上げては、蓮に振り下ろす。



頭だけでは飽き足らず、体中を殴った。



「グハッ……」



止まらない奇襲に、口から血を吐く蓮。


彼は痛みで指一本動かない中、わずかに目を開ける。


自分を殴るヤツは、周りに溶け込んでしまいそうなくらい全身黒づくめだった。



「おまっ……誰……だ……」



血を吐きだしながら、言葉にする。



それが、蓮の最後の言葉で。



それっきり……口を開くことはなかった。



もちろん、目も。




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