地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー


「ん~むにゃむにゃ……」


イモリから警告をされた翌日の夜。

月曜日は、一日中講義が入っていて、退屈なモノばかりだったから疲れてた。


大学が終わって、満足に陸と話せないまま、ヤツが仕事に行くのを見送って。

ひとり家に帰った。

そこで、また届いていた……例のラブレター。



もう何だか気持ち悪くて……。

さっと中身を確認して、机の引き出しに仕舞い込んだ。


いつも通りに夕飯を作って、繭ちゃんとふたりで食べて。

ふたりでお風呂に入って、いつも通りの時間にベットに入った。


明日は、講義がない日だから、課題で出されたレポートでもやろうかなって考えながら、目をつむった。


フカフカのベッドで、いい夢が見れそうだと思っていたのに。



――ブーッ……ブーッ

突然鳴りだしたケータイの着信に、たたき起こされた。


「んあ~? 誰よ……」


鳴りやむことのないケータイに、イライラが溜まる。

眠い目をこすりながら枕もとの目覚まし時計を見ると、深夜2時―――。

電話をかけて来るには、非常識な時間帯だ。

真っ暗部屋の中で、ヤツはピカピカと点滅を繰り返す。

充電器につないでいたケータイを掴み、液晶画面を開いた。


電話の相手は、陸。


「何の用よ……」


こんな時間に電話かけて来るなんて。


――ピッ

通話ボタンを押して、耳元にあてる。


「ひふ? ふんな夜中になに?」


寝起きで、多少呂律がまわらない。


目をこすりながら、ベッドの上に座った。


だけど。


陸の言葉で、一気に眠気は冷めることになる。



「杏……落ち着いて聞け。……蓮が……重体だ」





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