地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
「かっ……会長は!?」
走ってきたから息が上がり、うまく話せない。
それでも、彼の状態が知りたかった。
だけど、あたしが聞いた瞬間。
全員の表情が曇る。
「ふえっ……蓮~……」
耐えきれなくなったのか、ありさちゃんが泣き出した。
そんな彼女を、零ちゃんが涙を流しながら抱きしめる。
ふたりの様子を見ていた繭ちゃんが、あたしの服を引っ張った。
「あーちゃん、おろちは?」
パジャマのまま連れて来た繭ちゃんは、不安しかない表情でみんなを見つめている。
小さいけど、これがただ事ではないと感じているんだろう。
すると。
「夜道で……襲われた。発見された時には、もう……心臓が止まってたらしい……」
陸が両手で拳を作りながら、説明をしてくれた。
「心臓はまた動きだしたらしいけど、もうわからないって……。医者ができるのはここまでだと……」
ヤツが途切れ途切れに話す言葉は、あたしと繭ちゃんから表情を奪う。
ウソだ。
ウソだ……。
誰かに否定してほしくてたまらない。
なんで会長なの?
「会長を襲った犯人は?」
「まだ見つかってない。それに……雅人や悠に、連絡がつかねえ……」
「え?」
陸の言葉にハッとして、もう一度周囲を見渡す。
零ちゃんやありさちゃんは呼ばれているのに、相澤くんたちがいない。
どうして?