地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
会長は、今も生死をさまよってる。


あたしにだって、陸にだって、大切な友達でしょ?

例えば、ただの学部が一緒とかの人なら、絶対に使わないよ。


正直、どうなったって構わないし。

ケガ人に同情はするけど、それ以上にすることはないから。

でも、ケガしているのは会長なんだ。



「それでもダメだ。あの状態の蓮に、力を使ってみろ。今度はお前が、死ぬかもしれないんだぞ!?」


「わかってる!」


それでも、やりたいの。


このまま、ただ会長が弱っていくのを待っていられない!


陸を睨み返した。


力を使うことを陸に話したのは、この人にも覚悟していてほしいから。


あの場でやろうと思えば、すぐにできたけど。


あたし自身、息を引き取る可能性だってある。


陸の顔も見れないまま、話も出来ないまま逝くのはイヤだった。



「俺に、お前がまた倒れる場面を見ろというのか? この前の比じゃないだろ!?」


低くて、刺々しい声がホールに響く。


「ごめん。でも、これで死んでも後悔はないから。今やらなきゃ、絶対に後悔する」


「お前はよくても、俺はどうなる? 目の前で恋人に死なれて……平気だと思えんのか!?」



たぶん。

今まで見てきた中で、1番怒っている。


顔が本当に怖い。


自分の手をギュっと握って、拳をつくった。



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