地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
その時だった。


――ピーポーピーポー


救急車のサイレンの音が聞こえる。



またこの病院に急患が来たのかな?


そのくらいにしか考えてなかった。


けど……。


「先生! こちらです!!」


救急の看護師さんたち数名が、白衣を着たお医者さんを連れて、あたしたちが来た方から小走りで来る。



――ドクンッ


なんだか、イヤな予感がする。


なんとなくだけど……陰陽師としての勘が、警鐘を鳴らした。



小走りで、お医者さんが看護師さんに患者さんのことを聞く。


「患者の情報は?」

「どちらとも10代男性。さっきの伝声の患者さんと一緒で、全身を殴打され、廃墟の倉庫に放置されていたそうです」



――ドクン……

頭に、さっきの陸の会話が再生される。


『会長を襲った犯人は?』


『まだ見つかってない。それに……雅人や悠に、連絡がつかねえ……』


『え?』



大丈夫だよ、そんなわけない。



10代の男性なんて、この世に山ほどいるじゃない。


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