地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
ジリジリと痛む拳を自分の額に当てて、深く息を吐く。
すると。
「あのっ! 患者さんのご家族の方はまだですか?」
処置室内から出て来た看護師が、朝比奈たちに声をかけた。
「はい……もう来ると……」
目から止まることのない涙を拭いつつ、松沢が返す。
その時。
「柚莉ちゃん!」
「零ちゃん!」
少し離れた場所から、ふたりを呼ぶ声がした。
顔を上げて、そちらの方を見ると。
悠の家族と、松沢の家族。
雅人の家族と、零の家族たちが駆け寄ってくる。
「零!」
「母様っ」
名前を呼ばれて、朝比奈がすがるように自分の母親に抱き着いた。
「柚莉!」
「お母っ……さんっ……」
続いて松沢もボロボロと泣きながら、母親の胸に顔をうずめる。
「息子は!? 西国雅人の父ですっ!」
着物に羽織を着た40代くらいの男性が、女性の肩を抱いて看護師の元へ行った。
その後ろには、悠の親父さんと、お袋さんがいる。
「相澤です!」
体が震えるお袋さんの手を握り、親父さんがそう言った。
看護師は、ふた組の家族を引きつれて、処置室の隣にある個室へと入って行く。
しばらくして出て来た、彼らは……もう表情がなかった。
「おばさま! 雅人は!?」
朝比奈が、雅人の母親に駆け寄る。
すると。
「あのっ! 患者さんのご家族の方はまだですか?」
処置室内から出て来た看護師が、朝比奈たちに声をかけた。
「はい……もう来ると……」
目から止まることのない涙を拭いつつ、松沢が返す。
その時。
「柚莉ちゃん!」
「零ちゃん!」
少し離れた場所から、ふたりを呼ぶ声がした。
顔を上げて、そちらの方を見ると。
悠の家族と、松沢の家族。
雅人の家族と、零の家族たちが駆け寄ってくる。
「零!」
「母様っ」
名前を呼ばれて、朝比奈がすがるように自分の母親に抱き着いた。
「柚莉!」
「お母っ……さんっ……」
続いて松沢もボロボロと泣きながら、母親の胸に顔をうずめる。
「息子は!? 西国雅人の父ですっ!」
着物に羽織を着た40代くらいの男性が、女性の肩を抱いて看護師の元へ行った。
その後ろには、悠の親父さんと、お袋さんがいる。
「相澤です!」
体が震えるお袋さんの手を握り、親父さんがそう言った。
看護師は、ふた組の家族を引きつれて、処置室の隣にある個室へと入って行く。
しばらくして出て来た、彼らは……もう表情がなかった。
「おばさま! 雅人は!?」
朝比奈が、雅人の母親に駆け寄る。