地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
その途端……。
「もうっ……どうしたらいいのっ……? 打つ手がないなんて……っ……」
――ペタン
雅人の母親がその場に座り込んだ。
「え?」
朝比奈がそれを呆然と眺める。
「……悠は?」
目を真っ赤にした松沢が、ポツリと呟いた。
「柚莉ちゃん……」
悠の母親が泣きながら……彼女の手を握る。
「ママ? 悠は? 助かるんだよね?」
ジッとお袋さんを見上げて問うが、俯くだけだった。
「あのね……先生は、もう手は施したって……」
それだけを口にする悠の母親。
手は施したって……それは……。
つまり、もう治療方法がないということ。
助かるかもわからない。
このまま……息を引き取る可能性だってあるということだ。
悠と雅人が……死ぬ?
考えただけで悪寒が走る。
握っていた拳をもっと握り締めた。
俺たちは、悠たちに気を取られていて……もうひとり、重体のヤツがいることを忘れていたんだ。
――プルルルル!
「先生! 高瀬さんが心肺停止です!!」
何かコール音が聞こえたと思ったら、看護師が個室で家族たちに説明をしていた医者を呼びに来る。
「今すぐ行く! 心マを続けなさい!!」
白衣をひるがえして、パタパタと俺たちの前を駆けて行く医者。
「蓮が……?」
俺は、その姿を呆然と見送った。
「おろち……!!」
繭も、状況を理解しているため、俺の足にしがみついて離れない。
「もうっ……どうしたらいいのっ……? 打つ手がないなんて……っ……」
――ペタン
雅人の母親がその場に座り込んだ。
「え?」
朝比奈がそれを呆然と眺める。
「……悠は?」
目を真っ赤にした松沢が、ポツリと呟いた。
「柚莉ちゃん……」
悠の母親が泣きながら……彼女の手を握る。
「ママ? 悠は? 助かるんだよね?」
ジッとお袋さんを見上げて問うが、俯くだけだった。
「あのね……先生は、もう手は施したって……」
それだけを口にする悠の母親。
手は施したって……それは……。
つまり、もう治療方法がないということ。
助かるかもわからない。
このまま……息を引き取る可能性だってあるということだ。
悠と雅人が……死ぬ?
考えただけで悪寒が走る。
握っていた拳をもっと握り締めた。
俺たちは、悠たちに気を取られていて……もうひとり、重体のヤツがいることを忘れていたんだ。
――プルルルル!
「先生! 高瀬さんが心肺停止です!!」
何かコール音が聞こえたと思ったら、看護師が個室で家族たちに説明をしていた医者を呼びに来る。
「今すぐ行く! 心マを続けなさい!!」
白衣をひるがえして、パタパタと俺たちの前を駆けて行く医者。
「蓮が……?」
俺は、その姿を呆然と見送った。
「おろち……!!」
繭も、状況を理解しているため、俺の足にしがみついて離れない。