地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
一回、この病室から出ようか?

この恥ずかしい空間から抜け出してぇ!!

そう考えた始めた時に。


「そうねぇ……。私は、あなたたちが高校で出会った時から運命だと思ってたけど?」

「え?」


俺と杏が、高1で出会った時から……?


「何で、そう思えたんですか?」


不思議で、問いかけるとお袋さんは、フフッと笑うだけ。

何も答えようとはしない。


「ナイショよ? でも渉も、私と同じことを思っているから」

「え? 俺、嫌われてたんじゃ……?」


頭の中で、毎回の威嚇攻撃を思い出す。

『絶対に、杏樹は渡さんぞ!!』というような決意の目で睨まれているからな。


杏との結婚を申し込むときに、最大の難関になりそうな人なのに。


もう、俺たちのこと認めてくれているってことか?



「杏樹のこと、もう陸くん以外任せられないでしょ。おじいちゃんも、陸くん以外には嫁に出さないって宣言してるから」



クスクスと笑うお袋さんを見て、俺は、頬が緩むのを抑えられなかった。




なぁ……杏?


俺さ、もう神崎家の人に認められているんだって。


これって、うれしいことだよな。


俺らのこと、応援してくれる人が増えてる。


だからさ、お前は、さっさと目ぇ覚ませよ……。


家族を安心させなきゃいけねーだろ?



そんな思いを胸に抱えつつ、お袋さんに微笑み返した。





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